無料オンライン小説 COLOR 悪の誘い



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中には、3ヶ月位でテナントが入れ替わっているところもある。

やっぱ、不況だから小さい会社は経営が厳しいのかね。

しばらく歩くと、三番館の前に辿りついた。

しかし、店全体が工事用のシートに覆われており、中に入る事は出来ない。

店の中からは、電動工具の音が鳴り響いている。

入り口付近に目をやると、工事の説明が書かれた紙が貼られていた。

どうやら、改装工事を行っているようだ。

「ふぅ〜。しょうがないな…」

マダムに会ったら、以前店に無断で忍び込んだことを謝罪しようと思っていたのに…。

そして、あの秘密の研究施設の事も聞いてみたかった。

シートに覆われた三番館を見上げた。

幼年期の思い出が、また一つ店の面影と同様に無くなってしまう。

何か寂しいな。大人になるといろんな物を自由に手に入れることが出来る反面、ある日突然、強制的に何かを壊されたり捨てられたりする。

軽くため息をついた後、しょうがないので近くの定食屋に入り生姜焼き定食を注文した。

しばらく待つと、生姜焼き定食が運ばれてきた。

中々上手いが、何かパンチがない。

でも、個人で経営してる店だから、店の雰囲気も食事も独特の暖かさがある。

食事を済ませると、グラスに残った水を飲み干し、勘定を済ませると店を出た。


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