無料オンライン小説 COLOR 悪の誘い



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本当は、車が欲しいけど買えないんだろう。

リストラも怖いし、車を買うぐらいな貯金してた方が賢明だろうって感じかな。

世の中が、どんどんマイナス思考になっていくな。

しばらく、歩くと美森駅まで辿りついた。

なんだか、駅周辺も元気がなくなっている。

テナントビルの空きも目立つ。

駅を背に、商店街のアーケードを歩く。

シャッターが閉じており昼間なのにやたら暗い。

店舗に目をやると、昭和53年に営業許可を取り、いつの間にか閉店したパチンコ屋。隣のカメラ屋らしき店の前には、欽ちゃんのポスターが今だに貼ってある。

しかも、奥の方には80過ぎの婆さんが、一人でリヤカーに野菜を積んで来て、誰一人いないシャッター商店街の中で地べたに座り道売りしている。

ヌオオオ〜〜。オレは、イヤだ。これは、日本の末期だな。

スターウォーズに出てくる、ヨーダのようなババアを尻目に走った。

目から少し涙が溢れている。

しばらく無我夢中で走ると、息が切れ始めたので立ち止まり呼吸を整えた。

時計を見ると、もう11時30分を回っている。

腹も減ってきたので、昼食をとるため三番館に足を向けた。

表通りに出ると道なりに進む。

表通りは車の流れが多い場所で、シャッター商店街とは違い、入れ替わり立ち代わり新たな店がオープンしている。


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