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彼の後をゆっくりついて行くと、1台のスポーツカーの前で立ち止まった。

「どうよ、これ?」

「どうよって、これがお前の車か?」

「ああ、三菱ランサーGSRエボリューションIXだ」

「へ〜。凄いな。本物レーシング・カーみたいだ」

「だろう。じゃあ、今からオレはこれに乗るんで先に下浦ダムに行って待っててくれ」

「分かった」

「おっと、待った。下浦ダムの観光案内の看板がある大きな駐車場だぞ」

「分かった。大きな駐車場だな」

彼に言われたとおり、倉庫から出て自分の車に乗り込むと、下浦ダムに向けて車を走らせた。

何だかんだいって、もう9時30分か。

20分程度、車を走らせると下浦ダム付近に辿りついた。

道なりに走ると、観光案内の看板がある大きな駐車場が見えた。

しかし、ここいら辺りは、ほんと何もないな。

月の明かりに照らされ、ダムの水面とそれを覆う森がかすかに見えるだけだ。

僕に遅れること数分。泰蔵のランエボが駐車場に入って来た。

彼は、車のエンジンを切ると、僕の方へ歩み寄ってきた。

「よし、それじゃあ。今から、泰蔵自動車学校を開校するぞ」

彼は、そう言うと僕の車の助手席に乗り込んできた。

「よし、栗原。とりあえず、走ってみな」


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