困惑し、泰蔵に問いかけた。
「泰蔵、ここから、どうするの?」
「ゆっくり、あの倉庫のところまで行ってくれ」
彼に言われるがまま、車をゆっくりと走らせる。
しばらくすると、泰蔵が車を止めライトを消すように指示した。
彼は助手席に座ったまま、外の様子を360度確認すると、エンジンを切って待つように言った。
そして、車のドアを開け一人で飛び出して行ってしまった。
暗闇の中で、波の音と港のサイレンが鳴り響いている。
数分経つと、車を止めた右横の倉庫のシャッターが少し開き中から明かりが漏れ始めた。
そして、シャッターの隙間から、泰蔵が手招きをしている。
どうやら、車を中に入れろという合図だろう。
車を、倉庫の中に入れるとシャッターが閉まり、そこに並べられた高級車の数に驚いた。
車から降りると、僕の元に歩みよってきた泰蔵に話しかけた。
「オイ、お前、この車はどうしたんだ?」
「クッフ。ビビルだろう」
確かに、凄い。フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなど世界の名車が勢ぞろいしている。
泰蔵が、車を眺めながら話し出した。
「ここにある車は、全部札付きだ」
「札付き?」
「ああ…。つまり、ナンヤ・カンヤと訳ありってこと。簡単に言うと、違法改造車や窃盗団の専用車両。それに盗難車だとか、普段、表に出せない車をここに置いてるんだ」
「泰蔵、お前。まさか?」
「チョ、チョイ待ち。オレは、ただ派手にチューニングしてるだけで、ワルサしてるわけじゃないよ。それより、オレの車が向こうにあるで、ちょっと見てみるか?」
「ああ…」 |
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