無料オンライン小説 COLOR ラスト・コンタクト



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見たところ、40歳前後でマジメそうな人だ。彼は、門を少し開けると僕らに話しかけてきた。

「あの〜、何か御用でしょうか?」

「いえ、私、富国電気のこういう者です」

僕は、そう言うと彼に自分の名刺を渡した。

「はあ……。それで、あの有名な栗原さんがどういう御用件でしょうか?」

「実は、弊社でお取り扱いしています家電機器などが誤作動してないかと思い調査しているのですが、何か問題は、ございませんでしょうか?」

「いえ、特に何も聞いていませんが。宜しかったら、見て行きます?」

「はい、お願いします」

僕らは、職員室のパソコンをチェクしたが何も出てこなかった。

続いて、パソコンルームのパソコンを1台ずつチェックしたが何も見つからなかった。

僕らは、用務員さんに礼を言うと小学校を後にした。

それから、中学、高校と訪問したが何一つ、手掛かりは掴めなった。コンピューターがある場所というと、学校くらいしか、思い浮かばなかったが、どうも的を外しているようだ。

子供の頃、お世話になったお寺の住職にも話を聞いたが、まるで見当違いだった。

ついでなので、僕らが少年期によく遊んでいた、秘密基地にも行ってみたが、草が多い茂り、跡形もなくなっていた。

ふと気づくと、もう夕日が迫ってきている。

いい大人が3人がかりで、探し回ってこのありさまか。せっかく美森の中に、COLORのメインモジュールがあることがわかったのに。

このまま、何もできずに、富国電機の役員を退任させられて、僕の人生も、こんな感じで終わってしまうのかな。

そう、思いながら2人の顔を見ると、かなり疲れきった様子だった。

僕は、京介の顔見ながら問いかけた。

「京介、そろそろ食事でもしようか?」

「ああ、そうだな。よく考えたら、朝から何も食ってなかったな。で、どこ行く?」

「とりあえず、三番館でよくない。ヤスオは、どう?」

「僕も、三番館でいいよ。お腹が減ってフラフラする」

僕らは、お腹をすかしたまま三番館に向かって歩き出した。

こういう時に限ってタクシーも通らない。

結局、店の前にたどり着いたのは、夕方の6時を回ったころだった。


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