目覚めると、ソファーの上にうずくまっていた。どうやらニュースを見ながらダイニングで眠ってしまったらしい。
眠い目をこすりながら、ゆっくりと体を起こす。
テレビの方を見ると、電源が切れていた。疲れていつ寝入ったのか覚えていないのに、しっかりスイッチを切って寝たらしい。
こんなところまで、独り暮らしの習慣がしみついている。タバコに火をつけながら、独りで苦笑した。
タバコを灰皿に押し付け、立ち上がってカーテンを開ける。まぶしい朝日に包まれて軽いめまいを覚えた。
その後、キッチンの方からただよってくる良い匂いに気づいた。
「ケンちゃん、おはよう。朝食作ったけど、こっちに持って来て食べる?」
理香が、キッチンから出てきて微笑んだ。
「朝食?」
「そ、ちゃんと朝ごはん食べないと、いい仕事できないでしょ?」
「あ、ああ、作ってくれたんだ。じゃあ、ご馳走になろうかな」
「どうしたの?ボーっとして」
「いや、なんでもない」
「じゃあ、ごはん、こっちに持ってくるね」
理香が目の前のテーブルに料理を並べるのを、不思議な気分で見ていた。 |
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