無料オンライン小説 COLOR デッド・オア・ア・ライブ



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新潟の柏崎原発が地震でストップしたとか、アメリカが京都議定書にサインしなくて、くずぐずになってる地球温暖化対策がどうだとか、中国を含めて考えなきゃ意味がない。

「チームー6℃」に貢献するためだとかいった話を、取締役会でジジイの役員連中から聞かされるうちに、富国電機本社ビルは全館が弱冷房になった。

要は社会貢献にかこつけて、経費を節減したいだけなんだろうけど、現場で働く人間にとってはたまったもんじゃない。

高層ビルは窓が開けられないし、外の陽射しのせいで、蒸し暑くてたまらない。

緊急対策課は、スペースが狭い上に人が多い。おまけにパソコンの放熱が加わるから、弱冷房のままだと、どんどん室内温度が上がっていく。まるで低温サウナだ。

愚痴っても仕方ないから、みんな気合入れて頑張ってるけど、だんだん苛立った空気を感じるようになった。

みんな生理的な限界が近づいている。佐藤も康市も、クールビズのボタンを一つ余計に外して、黙々と仕事をこなすようになった。仕事の能率が上がらない環境の中で仕事をしなければならないのに、肝心のCOLORパーツの回収のほうは、いくら力を注いでも、目立った進展がない。

それどころか、COLOR自体のアルゴリズムやプログラムの全体像もうまくつかめていない。仕事の成果もはっきりしない上に、クソ暑い中で作業しなければならないせいか、みんなだれきっていた。

気合が入ってるのは、ゴリだけだ。もっとも、ゴツ毛深くて、いちいち暑苦しいこいつのせいで、職場の不快指数がうなぎのぼりなんだけど。

本人は気付いてるのかね。ちょいと、見てみるか……。

げっ! 鼻毛を抜いて飛ばしてやがる。

殺害してよかですか?

とはいっても、僕も馬鹿をやる元気なんてわいてこない。

目の前の仕事に没頭するうちに、ゴリに対する不快感など忘れてしまっていた。

出社して2時間あまりが過ぎた頃、商品データベースのチェックが終わった。

仕事に一区切りついたので、みんなで休憩に行こうと思っていると、ゴリが僕の近くに歩いてきた。

「栗原、そろそろ行くぞ」

「え? どこにですか?」

「会議に決まってるだろう。朝のブリーフィングの時に連絡しただろうが」

「そうでした、すいません。みんな悪いね」

佐藤と康市に片手をあげて謝った後、ゴリの後に続く。みんなは相当疲れているのか、僕に何も言わずに、休憩場所へ移動をはじめた。


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