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ホームタウン

シャッター商店がのアーケードの前に着くと僕達はタクシーを降りた。

空を見上げ大きく深呼吸をすると、彼らと一緒に働いていた頃の事を思いだした。

でも、よくよく思い返してみるとたった三ヶ月前の出来事だった。

アーケード入り口のたこ焼き屋は今だ健在で、佐藤の婚約者がせっせっとたこ焼きを焼いている。

僕が駆け寄り話をしようとすると佐藤が慌てて静止した。

「賢一さん、ちょっとヤメテください。彼女は……彼女は就業時間帯なんです。仕事中の女性に気軽に話しかけちゃダメですよ。まったく、あなたという人は…」

どうやら佐藤は彼女の事を大切に思っているようだ。しかし、露天商というものは世間話をしながら購入を勧めるタイプのビジネスじゃないのかな?まあ、いいか。どうせ結婚前だから他の男を近づけたくないんだろう。

商店街の中に入ると薄暗いが以前に比べるとポツポツとシャッターが開き少数ながら営業している店がある。よく見てみると新しい経営者が開業しているので店自体も小奇麗になっている。

元の事務所の前までくるとガラス越しにオフィスの中を覗いた。倉庫代わりに使っているというだけあって奥の方にダンボールが積み上げてある。一応机やパソコンもあるが、僕には見覚えのない人達が事務処理をしている。

僕がオフィスの中に入りみんなに挨拶をすると今までパソコンに向かい仕事をしていた人達は僕に気付くと素早く立ち上がり挨拶をした。

どうやら僕はいつの間にか有名人になっていたようだ。そういえば東京にいるときにはよくメディアの取材を受けたからな。

奥のスタッフルームに入ると相変わらず小汚い長机とパイプ椅子がある。

パイプ椅子に腰掛けてしばらく天井を見上げていると佐藤たちが入ってきた。

各自着席するとしばらく沈黙が続き、僕がタバコをに火をつけると佐藤が話し始めた。

「賢一さん、具体的に今なにが起きているんですか?」

「あ〜説明するとかなり話が長くなると思うけど…。その前にこの話はオフレコでお願いしますよ。康市もな」

康市は僕の方を見ると無言でうなずいた。


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