「簡略に説明すると、とりあえず三ヶ月前の美森市の停電事件は富国電気の開発した人工知能プログラムが暴走したものだったんだ。
で、カラープログラムには本体と三つのパーツ。レッド・グリーン・ブルーの各パーツがある事が分かったんだ。
それで、レッドパーツを藤田さんが持っているらしいという情報が入ったので彼の所に行ってレッドパーツと俺のオヤジが昔作ったカラープログラム捕獲装置を見事手に入れましたって感じだ。それにしても、ここはダンボールが増えたな」
佐藤は少し笑いながら話し出した。
「だから今さっき言ったじゃないですか。ここは、倉庫代わりに使ってるって。それでカラープログラムがこのまま暴走し続けるとどうなるんですか?」
「そうだな〜。まあ、簡単な話だ。富国電気は倒産、そしてITコンサルティング社も連鎖倒産して、日本経済が混乱して、最悪世界経済が崩壊するカモ」
この場にいた全員がため息をついた。
「でも、この事態を早急に解決したら、僕は富国電気の代表権を継承できるんだ。それだけじゃない。ITコンサルタントにも増資できるから、お前たちもワンステップ上にいけるぞ。
ブルーアースプロジェクトは富国電気が持株会社経由で別に出資するから、より実現に近づく。そしたら日本どころか、世界経済の頂点に近づくかもよ。ほれ、京介、お前のとこ赤ん坊が生まれるわけだけど、ミルク代には事欠かなくなるわけだ」
「俺は、どうでもいいかな。俺、富国電気で広報の主任になっただろう? もう、これが毎日甘ッたるい日々で、中々いいわけよ。おまけにサラリーマンなのに給料もいいし。ぶっちゃけた話、もうヤバイ話には関わりたくないんだよね。でも、まあしょうがないね。まあ、昔からお前といっしょにいると、この手の事件に巻き込まれるから」
「ああ…。でも、今回は俺が引き起こした問題じゃないよ。それより、京介もとりあえず広報から移動届け出して商品管理室・緊急対策課に移動になっていているから。明日から僕と共に行動してもらうからね。それと、佐藤君と康市も富国電気に出向して緊急対策課に籍を移すから、ヨロシクネ」
「え〜。どうして僕が」
「マ・マジですか」
「二人ともよろしくな。それより今から三番館に行って食事しない?一応僕のおごりです。ほんとは、まだまだ話さなきゃいけない事があるんだけど情報量が多いからとりあえず食事しながら話そう。さあさあ、行こう」
それまで、嫌な雰囲気が充満していたが食事をおごると言っただけで場が和んだ。
僕らは、シャッター商店街の中のオフィスを後にして三番館へ向かうことにした。 |
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