無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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佐々木常務は大停電の状況説明を終わらせると一呼吸ついてまた話し出した。

「その原因については、我々もさすがに納得がいかなかったので我が社の調査チームが独自に調査しました。その結果、前社長、栗原義明氏が推進していたカラープロジェクトが開発した人工知能プログラムCOLORと我が社が独自に研究開発していたナノロボットが引き起こした事件だと判明しました」

会場がざわめくと同時に、みんなの目が僕に集中した。佐々木常務は、そんな事には動じずまた話し出した。

「本来、カラーというプログラムは、1970年代から急速に拡大した製造業の生産ラインに導入されたものでした。産業ロボット用に開発されたプログラムですが、簡易人工知能的なアルゴリズムを備えた特徴があります。

ちょうど今のワープロソフトの漢字変換の学習機能を拡張して、推論機能を持たせたのようなものです。プログラム自体が独自に学習する事で、エラーを減らし、生産効率を上げると同時に、製品のクオリティを一定に保つという当時としては、画期的なプログラムでした。

しかし、このプログラムは軍事転用される危険性があり、当時存在していたソビエト連邦や東側諸国に流出する危険性がありました。そのような理由から、日本国及びアメリカ合衆国の管理下で、我が社が秘密裏に研究していたのですが、ラボ(研究室)からナノロボットがカラープログラムをインストールして持ち出したものと判明しました」

僕の横にいたゴリが手を上げた。佐々木常務は無言でゴリを指差して発言を許可した。

「商品管理室室長、河島栄太です。おおよその内容は把握できましたが、カラーの特性とナノロボットとの関連性がいまいち飲み込めません。詳細の方をもっと噛み砕いて説明して頂きたいと思います」

ゴリの質問に佐々木常務は、即時に返答した。それと同時に会場にいる全員が慌ててメモを取り始めた。


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