無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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叔父夫婦は子供がいない。おまけに、叔父がブルー・アース・プロジェクトに出資して持株会社を設立した以上、僕の選択枝はなくなった。

僕が嫌だといえば、叔父はブルー・アース・プロジェクトへの出資を引き揚げるだろう。そうしたら、ITコンサルティング社のみんなが路頭に迷うことになる。

京介や康市やペコちゃんはもちろんだけど、ネットの上で今まで会社の発展に協力してくれたみんなを裏切るわけにはいかない。それだけじゃない。プレゼンで約束した他の会社の人たちだって裏切ることになる。

男だったら、約束は守らなきゃな。僕は結局、大嫌いだった世襲の道を選んだ。

昔、世襲議員をダメな奴らだと思っていた。でも、いざ自分が同じ立場に立たされた時考えが変わった。会社を持つことは守るべきものを持つことでもある。

その守るべきものを支えていくには、世襲も必要なのだ。会長職の叔父も七十歳を迎えようとしている。最近は健康状態も悪く、後継問題が浮上してきていたとこだった。先日の臨時株主総会で、僕の取締役承認決議が簡単に決定できたたことも、叔父の体調の問題があった。

ただ、一部の株主の中では反対同議も出た。銀行屋と悪質な外資系ファンドの奴らだ。彼らの目的は富国電気に出資して配当を得ることではない。

会社を乗っ取って、企業資産をむしり取り、各セクションをバラバラに切り売りして売却益を上げようと目論んでいるのだ。

彼らにとっては、僕みたいに、無資本同然の状態から会社を立ち上げた実績をもっていて、おまけにずる賢くて、無敵・無敗のディベート術を持ち合わせている人間は不愉快なのだ。

しょせん彼らは、親のスネをかじって大学に行き、キャンパスライフを満喫したハナタレ小僧だ。僕と対面するなり、直感的に恐怖感を覚えたのだろう。

今の僕は、ある程度、政治や経済も動かせる立場に立った。

ブルー・アース・プロジェクトの本当のコンセプトはラブ&ピースだ。世界上の人々が平和と豊かさを共有できることが目的だ。プレゼンの場で、そう公言した気持ちは今も変わっていない。


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