無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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こんな、金融屋のハイエナどもに、会社は絶対に渡さない。富国電気を連中に渡すことは、ブルーアースプロジェクトを空中分解させることでもある。親友の京介との約束も守れなくなる。

そう言えば京介も富国電気にいる。ITコンサルティングの取締役ということもあって、僕の後に赴任してきた。でも大企業になると同僚とも顔を合わすことがなくなる。確か広報の主任として配属されたとかいっていたな。

佐藤は、たこ焼き屋の彼女と婚約したらしい。来年には結婚すると聞いた。

康市は、ITコンサルティングの最高技術責任者兼、常務取締役についた。最近取締役会の承認をもらって、不動産事業部を開設したそうだ。オヤジさんの会社に仕事を回すことが目的だったみたいだが、それなりのプランニングを提案して、実績をあげているから批判は受けていないらしい。いい親孝行をしているってところだろう。

朝一で出勤して、現場にも顔を出して、真面目に働いているらしい。上司の僕にも、まともに受け答えのできなかった康市があそこまで変わるなんて驚きだ。ヤンマガ読みながら、生意気な受け答えしていた頃がなつかしいな。

僕は、何をやっているのだろう。

また、頭の中に二等辺三角形が出てきた。

ほんの3ヶ月までは、みんな僕のそばにいた。でも、また孤独なラインを一人で歩き出した。

確か、お金持ちになると幸せな日々を送れるって、誰か言っていませんでしたか?

口から吐き出したタバコの煙が、あっという間に空の中に吸い込まれていく。

もう一度、空を見上げた。

空は青く輝いている。でも、僕の心は曇っている。そろそろ戻ろう。ゴリもうるさいからな。


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