無料オンライン小説 COLOR 悪夢の夜明け



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町を歩くと真夏なのにスーツを着ている人が沢山いる。見ているだけで、不快指数200パーセントアップだ。キィ〜。

でも、良い面もある。女の子が可愛い、ただそれだけ、かな?とにかく、あとはいいことなんてありゃしない。

一応取締役に就任したものの、会社での扱いはペーペーだ。商品管理室室長、河島栄太の部下として配属されたが、こいつがまたキツイ。

河島栄太は元陸上自衛隊の自衛官だ。富国電気は、防衛庁にも商品を納入しているからみもあって、退官した自衛官を受け入れている。

俗に言う、徴兵入社組だが、こいつは特にキツイ。みんなは彼の事をゴリさん、又はゴリ上等兵と呼んでいる。

ゴリは、イチイチ小言がうるさく、その上指先まで毛の生えたマッチョな男だ。とにかく煮ても焼いても食えない。さながら、歩く生物兵器ってとこかな。

しいて、取り得があるとしたら、几帳面で、上から言われた事はなんでも的確にこなす事だ。命令で動いていた人間だからね。とはいえ、ユルいスタイルで仕事してきた僕とは、全く価値観が合わない。

そもそも、商品管理室自体、誰でもできる仕事のポジションだということに気づいてないことがイタイし、全力で仕事をこなそうとする姿勢も見ていてイタイ。

とにかく、こいつといたらカッタルイ。だが、それも仕事と割り切って今日もマジメに働いている。

今日も、そろそろ限界に近づいてきたので、また屋上でサボル事にしよう。

「すみません、ゴリさん、僕、ちょっと打ち合わせに行ってきます」

「栗原、用件が終わったらすぐ戻ってこいよ。お前は、まだ覚えなきゃいけない事が山ほどあるんだからな」

ゴリは、僕とは目も合わさずにパソコンのディスプレーを見ながら言った。

「はい、分かりました」

いやな上司の一言に、軽く会釈し、机の下の鞄を持って席を立った。


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