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それなのに、僕と京介は、アキラのことなんて気にもしなかった。

むしろ、アキラが降りてくれて助かったなんて考えてたくらいだ。僕と京介は、現場監督の話に夢中になっていた。説明が終わったら、仕事は即決。その頃には、アキラのことなんてすっかり忘れてしまっていた。

一ヶ月くらい働くと30万円近く金が貯まった。そして僕と京介は、また仕事をやめてギャング生活に戻った。

久しぶりに、ギャング生活に戻ったら、僕と京介はあ然としてしまった。たった一ヶ月の間に、この街の勢力図が大きく変わっていたのだ。

アキラは、後輩達を集めて、新しいギャングを作っていたのだ。黒のトレンチコートをシンボルにした新しいギャングは、盛り場を根城に、頭数を増やしていった。

ファーストフードなどの飲食店に彼らがたむろすると、とたんに客が寄り付かなくなる。やがて連中は味をしめて、カツアゲや、車のパーツ窃盗なんかよりも、企業をゆすることを選ぶようになった。
経営者達は、なくなく彼らにミカジメ料を支払うようになった。

当然、彼らの資金源はみるみる膨れ上がった。金の力は、暴力のパワーを上回る。アキラが率いるトレンチコートギャングは、この街に昔から組を張っている地回りの極道さえも、おいそれと手が出せない存在になった。

挙句の果ては、ほとんどの店が赤字のはずのシャッター商店街までも、金銭を要求するようになったのだ。

そんな、ある日、僕達の事を目の敵にしていた商店街の人達の会合に呼び出された。行く理由なんてなかったが、何度か補導された時に、目をかけてもらった警察署長に仁義を通して顔を出した。


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