顧客とのニーズの行き違いのトラブルで、クライアントから10億円の損害賠償訴訟を起こされた時も、先方に出向いていって見事に煙に巻いてきた。
もちろん賠償金を一円も払わずに、だ。心臓の強さも人並みじゃない。
もっとも僕と同じで、ギャング時代にいくつも修羅場くぐって、ブイブイ言わせてたやつだから、別に不思議には思わないけどね。
「今日のプレゼンどうする?」
「それなら準備万端」
京介がそう言うと、康市がヤンマガを置いた。
「京介さんのプレゼンっすけど、ここのあたり技術的に無理がありますよ」
「そんなことはねえだろ。俺が技術屋じゃねえからってなめんじゃねえぞ。この前のプロジェクトで、これくらいのことをあっさりやってのけただろ。出来ねえとは言わせねえぞ」
「いや、しかしですね」
それまで静かだった二人は、まるで圧縮ファイルがインストールされたみたいに、立ち上がって熱く語り始めた。 |
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