無料オンライン小説 COLOR 人生は振り返るもんじゃないんだ!



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ビルの谷間を抜けると、月極駐車場に車を止めて、オフィスへ歩く。

僕の会社のオフィスは、商店街の中にある。

昭和五十年ごろだっただろうか。

両親に連れられて子供のころに通ったこの商店街は、活気があって、笑顔が絶えなかった。バブルが崩壊した後も、僕が大人になって一時この街を離れた後も、その時間はずっと続いていた。

だが、大資本をバックに、小奇麗なビルのテナントや、郊外進出型のショッピングモールが出店しはじめると、あっという間に客を奪われて、さびれてしまった。

細々とやってる店もあるけど、ほとんどの店がシャッターを下ろしたままだ。

シャッターが閉じたままのアーケードを歩くと、複雑な気分になる。

たまにすれ違う人達は、どこか覇気がない。まるで落ち武者かゾンビみたいだ。

そんな活気のない商店街の奥に、時代の寵児といわれる僕の会社があるのも、おかしな話だけど。

ここは、もともとクリーニング屋だったかな?

高倉健だったっけか? オヤジがよく見てた映画にでてくる俳優みたいな、しぶいオジサンが、一人でアイロンをかけていたのを覚えている。

でも、店の様子や、オジサンの面影は忘れてしまった。

ガラス張りのオープンオフィスに変わった僕の会社は、昔の面影を完全に消してしまった。


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