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そのままベットに大の字になり、今日一日の事を思い出していた時だった。
キッチンでヤカンをかけている事を思い出した。慌てて飛び起きてコンロの火を消した。
よく老人が、火の不始末で大火事を起こすけど、こんな感じなんだろうか。
それも、記憶力が悪くなるとかじゃなくて、寿命が近づいてくると、生きているってリアリティがなくなるから、起きることなんじゃないだろうか。
ばかばかしい。そんなことを考える年じゃないよ。今は上へ上へはいあがることだけを考えないと。
それにオヤジも言ってたじゃないか「人生は振り返るものじゃない」って。
明日に備えよう。そう思って、せっかく沸いた湯も飲まずに、部屋の明かりを消してベットに横になった。でも、いつもみたいにやっぱり眠れない。何かが僕の心の中でざわめいている。
「麻美に会いたい」
暗い部屋の天井を見上げていると、思わずそうつぶやいてしまった。
彼女と別れてどれくらい過ぎただろう。1年くらいになるだろうか。よく覚えていない。何しろ突然の別れだったし、連絡が取れなくなってしまったから。
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