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「いてえなあ。ったく」康市は、シャツの襟を直して首をコキコキ鳴らしながら、そうつぶやいた。

「何もかも順調で、問題なしっすよ。他のエンジニアが担当してる部分の不具合も修正しときましたから。とりあえずヤンマガ返してもらえます?」

「そりゃご苦労さん。ほらよ」取り上げたヤンマガを康市に手渡すと、机に戻る。

苛立ちを消すために、ペコちゃんが入れてくれたコーヒーを一口飲んだ。

そしておもむろにタバコに火をつけた。どうやら今日は何も問題がないようだ。

「チースッ♪」2、3度タバコをふかした時だった。ドアが開いて京介が入ってきた。うちの会社で朝一に必ず出勤してくるのは、ペコちゃんと京介だけだ。

会員制の審美歯科でマニキュアし直してもらったんだろう。いつもより白い前歯が口元から少しだけのぞく。相変わらずさわやかな笑顔だ。

さすがにギャング時代のような派手なファッションからは遠ざかったけど、やさ男風の風貌は変わることはない。スーツに身を包んでいると、まるで仕事明けのナンバーワンホストといった感じだ。

「今日、二人だけ?」京介は僕達を見ると、ニヒルなスマイルトークをぶつけてきた。

「うん、SNS(社内ソーシャルネットワーク)で出欠とったら、後で5、6人は来る予定になっているんだけど……」

「う〜ん、相変わらず集まり悪いね。ま、仕事が順調なら全然OKだけどさ」京介は平然と答えながら、机に座り、ノートPCの電源を入れた。

キーを叩く指には、新しいリングが光っていた。そういえば、イタリアのデザイナーにオーダーしたといっていたっけ。なるほど、それでご機嫌なわけだ。

彼はコンテンツプロデューサーという職業柄、いくつもの修羅場を乗り越えてきたツワモノだ。こんなことくらいでは何も動じない。いつでも冷静沈着なタイプだ。


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