「実は、私共が管理している重要データを黒龍魔導師という中国系マフィアに盗まれてしまいました。そこで、奴らのアジトからデータが入った記録メディアを取り返して来て下さい。それが、テストです」

「そんな事だろうと思った。タイゾウ、帰るぞ」

次の瞬間、彼女はソファーの下に隠し持っていた拳銃を手に取ると、タイゾウの頭に突きつけた。

タイゾウは、みるみるうちに青ざめ、声を震わせながら話した。

「オイ、栗原。ここは、とりあえず、彼女の話を聞きましょう」

「じゃあ、これを渡しておくわね」

そう言うと、彼女は僕に、アジトの地図と重要データに関するメモを手渡した。

そして、また、タイゾウの頭に銃を突きつけたまま話し出した。

「あの時計が１２時になる前に戻って来ないと、このアフロ殺すからね。さあ、早く行きなさい。あと、１時間半しかないわよ」

僕は、思わずタイゾウに向かって怒鳴った。

「だから、関わりたくなかったんだ」

しょうがないので、急いで店を出ると、コインパーキングまで走り、車に飛び乗った。

エンジンを掛け、室内灯を点けると、アジトが書かれている地図に目を通す。

そこには、港の盛り場の奥のビルの３階にマークがついている。

場所の確認が終わると、駐車場から車を出し、港へ向けて車を走らせた。