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「え、上に行けるの?」

「ああ、行けるよ。ちょっとした展望台みたいな場所がある」

「そうなんだ。じゃあ行こうか」

それから、20分程度山道を登っていくと、少し開けたグランドのような場所に出た。

先端の方に歩いて行くと、コンクリートのベンチがあり、そこに2人で腰掛けた。

前方には、薄っすらと月明かりに照らされたダムの周辺が見下ろせる。

遠くには市街地の明かりも見渡せる。

ダムの周辺に目をやると、まだパトカーが数台巡回している。

「栗原、どうやら完全に逃げ切ったようだぜ」

「そうだな。重大犯罪を犯した訳でもないから、山狩りまではしないだろう。それより、ここいいな。星降る丘って感じだ。初めて来たよ」

「だろう。何か手を伸ばしたら星に手が届きそうな場所ダヨな。でも、ここ、高射砲跡地なんだぜ」

「高射砲跡地?」

「う〜ん。簡単に言うと、戦時中ここでアメリカの爆撃機に向かって大砲を撃ってたわけよ。まあ、ほとんど届かなかったらしいがね。なんかそんな事をウチの死んだジイサンが言ってたよ」

「そうか、それで向こうの方に記念碑みたいなやつがあったのか。それより、今年の夏はお前のおかげで充実させてもらってるよ」

「それ、イヤミ?」

「イヤイヤ。本当に充実してる」

「東京よりも?」

「ああ…」

「そう言えば、東京もそうだけど地方も都市部に人口が集中し始めたな」

「そうだね。この国も末期だな。政治家や官僚の失策だ。でも、今の時代ネットが普及したから、どこにいてもスキルがあれば仕事が出来るのにね」

「え、そうなの?」


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