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ただ、こんな所で死ぬのはイヤだ。

指示通り、もっと素早く、思いっきり力を入れると、突然後ろから押し上げるような力が消えた。

「賢一さん、もう目を開けても構いませんよ。後続車を上手く引き離す事が出来ました」

目を開けると、ヘアピンを抜け最後のストレートに入っている。

それと同時にビットの姿も消え失せた。

バックミラーを見ると、後続車の影はない。

しかし、後方からは、金属が擦れる様な何か変な音が聞こえる。

そのまま、アクセルを踏み込み走り続けるとゴール地点が見えてきた。

もう、後ろには何も見えない。

難無くゴールすると減速し、車を駐車場に入れる。

車を停め、エンジンを切り、運転席のドアを開けると泰蔵が駆け寄って来た。

「ヨッシャ〜。俺たちの勝ちだ。それより、お前大丈夫か?」

「え、何が?」

「後ろ見てみろ。大変なことになってんゾ」

彼が指差す方に歩み寄ると、後ろのバンパーが大きくヘコミ。いろんなパーツが取れかけている。

「うわ〜〜。これはヒドイ…」

「まあ、でも勝ったからイイじゃないの。修理代も手に入ったわけだし。それより、あの坊主の車はどうなった?」

「いや、ヘアピンを抜けるところでヤツに追突されたんだけど、思いっきり振り切ったら見えなくなった」

「そうか。じゃあ、こちらに非があるわけでもないし問題ないな。俺、ちょっと金貰って来るわ。車券出してくれ」


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