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泰蔵が、奴らにそう言うと、彼らは難無く了承した。
それを聞いた、仕切り屋の龍二が観客に聞こえるように大きな声で叫んだ。
「よし、決まった。それじゃあ、ダムの外回りを両チーム1台ずつで走り、始めに走った車がゴールしたら2台目が走り出すリレー方式だ。それで、2台目の車が最初にゴールした方のチームが勝ちって事でいいな。よし、この条件で文句がねえなら、俺にお前らの掛け金を預けろ。心配ねえ、買った方にキチンと全額渡すから」
彼は、そう言うと金髪野郎達の方へ行き、何か話すと掛け金を受け取り、僕らの方にやって来た。
そして、泰蔵に向かって話し出した。
「じゃあ、リレー方式でいいな。で、金を出してくれ」
「ああ、問題ね〜よ。ほら、50万だ。確認してくれ」
「俺とのお前の仲だ。確認しなくても分かってる。今、そこの駐車場出たところで、ウチの若いもんがスタートラインを引いてるから、もうちょっと待ってくれ。じゃあ、頑張れよ」
彼は、そう言うと泰蔵の肩を軽く2回程叩き、何処かへと歩いていってしまった。
少し気になったので泰蔵に話しかけてみた。
「泰蔵。ヤツの事、知ってんのか?」
「知ってると言うか…。ただの仕切り屋だよ。それより、お前。準備は出来てるのか?」
「大丈夫だ…」
「じゃあ、そろそろ車に乗ってスタンバイするか。さっき言った事忘れるなよ」
「分かった」
話が終わると、2人とも自分の車に乗り込みスタンバイした。
まだ、誰もエンジンを掛けてないので、ハンドルを握り締めたまま、泰蔵のアドバイスを心の中で何度も繰り返した。
そして、正面を見つめ。フロントガラスの左側に視線を移し、徐々に右に傾けると僕の車から少し離れた場所で、康市がこちらを見たまま立ち尽くしていた。
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