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「イイヤツって。最高速か、それとも峠か?」

「まあ、どちらかっていうと峠なんですけど。どちらでも構いません」

「そうか…」

敦さんは、しばらく腕組みしたまま考え込んでしまった。

沈黙の後、彼が1台の車を指差しながら話し出した。

「あれは、どうだ」

「あれって、何ですか?」

僕は、思わず答えてしまった。

「日産のスカイラインGT-R。型は、チョイ古いんだけど、足回りもイイ感じだ」

「GT-Rか…」

「ところで、お前らどこをせめるの?」

泰蔵が割って入った。

「今週の土曜日、下浦ダムの外回りでバトルやるんです」

「そうか、下浦なら長いストレートがあるから、GT-Rでいけるだろう」

「で、栗原どうする?」

「え、でもいくらするんですか?僕、今手持ちがあまり無いんで…」

「いや、本当はあるだろう…。じゃあ、お前の、あのメルセデス・ベンツSL350と交換するってことでいいよ」

「ええ〜。いいんですか?」

「ああ、いいよ。あの、GT-Rは、いろいろイジッテるから、中々買い手がつかないんだ。それに比べると栗原、お前のSL350はGT-Rと交換しても300ちょっとはお釣りがくるぞ」

「本当ですか。それなら、GT-Rにします」

「そうか、商談成立だな。とりあえず、GT-Rに乗って行っていいよ。それから査定と名義変更の書類の準備をしておくから、明後日もう一度来てくれ」

「ハイ、分かりました」

「車のトランクから荷物を移し変えると、二人ともGT-Rに乗り込み、アニーオートを後にした。


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