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「ふぅ〜、すごいね。さすが表参道だね。こんなペラペラな服が7万近くもするのか。いや、まったく凄いね」

「シィ〜〜。声でかいよ。他の人に聞こえるよ」

「分かった、分かった。出しますよ。買いましょう。私の愛しのお姫様のために、今ポッケから、お財布を取り出しますよ。ホレ」

ポケットから財布を取り出し手渡すと、彼女は一目散にレジへ向かった。

よほど嬉しいんだろうな。

そいえば、こいつは不幸な生い立ちの持ち主だったな。

僕以外に、出会った人間は、さんざむしりつくすばかりで、ほんの僅かの愛情さえも与えなかったんだよな。

今日の理香は、なんだか幸せそうだな。

そんな事を考えていると、彼女が買い物袋と財布をもって戻ってきた。

そして、僕に財布を手渡し話し出した。

「ケンちゃん、ありがとう」

「うん。じゃあ出ようか」

二人とも店を出ると理香に話しかけた。

「せっかく、ここまで来たんだから明治神宮まで行こうか?」

「うん、でもどうして明治神宮なの?」

「それはね、ここが明治神宮の参道だからだよ」

「明治神宮の参道?」

「そう、明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祭神するために大正時代に建設されたんだ。それでここは、明治神宮に続く参道なんだよ。たしか、ここいら辺りは大正時代には何にもなかったんだよ」


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