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◆報われない日々◆
次の日からは、一転したかのように厳しい取調べが始まった。
恫喝や脅迫まがいのような事も度々見受けられるようになった。時には、朝起きてから寝るまで、取調べを受ける事もあった。
検察官が入れ替わり立ち代り椅子に座ると、僕に暴言を吐く事もある。ガタイの良い検事が捜査資料のファイルを床にたたきつけたのにはビビッた。
さすがに、これはキツイ。
なるほど、取調べを受けていて自殺する人の気持ちが分かったよ。ただ、あの弁護士の入れ知恵で、なんとかうまくのりきっている。
身柄を拘束されて2週間が経った頃だろうか。いつものように、取調べを受けて自分の房に戻り、食事をすませた後だった。寝る準備をしていると、突然、刑務官がやって来た。
「507号、釈放だ」
僕が、あ然としていると、急いで身支度を整え外に出るように指示した。
しょうがないので、私物のタオルと歯ブラシを持ち刑務官の指示にしたがって歩く。
途中いくつもの、鍵のついた扉を開けてもらい、やっと玄関のような場所までたどりついた。そして、拘置所につれてこられた日に預けさせられた私物も返却してもらった。どうやら本当に釈放してもらえるらしい。
外に出ようと、ドアの取っ手に手をかけようとした瞬間、検察官の藤本が現れた。
「あ、どうも。藤本先生。この度は、本当にお世話になりました」
「いや、こちらこそ。じゃあ、また」
僕は彼に、会釈すると前を向いて足を踏み出そうとした瞬間、突然後ろから羽交い絞めにされてしまった。
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