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「そう、そうなんだ……」
で、この展開をどう処理したらいいんだ。きっと軽い錯乱を起こしているんだろう。現実と夢の区別がつかなくなっているらしい。ヤバイ、どうすりゃいいんだ?このまま、こいつの首を絞めて殺してしまおうかな…。
僕が、しばらく考えていると彼がまた話し始めた。
「あなたは、まだ気付いていないかも知れませんが、今回の事件を起こした張本人は、京介さんです。いや、正確に言うと…」
「それは分かってるよ。京介は裏切ったからな。すごいショックだったよ」
「ダ・カ・ラ。人の話は最後まで聞いてください。単刀直入にご説明しますと、京介さんにパラサイトしたCOLORプログラム・パープル・パーツが、彼自身が本来持っていた願望を達成させるために、あの様な事件を引き起こしてしまったのです」
「そうか、そうだったんだ…。ところでビットは、僕の願望を達成させるために、どんなサポートをしてくれるの?」
「私は、インターネットの中を縦横無尽に移動しながら必要な情報を収集し、あなたの脳に映像として写し出す事が出来ます。しかし、パープル・パーツのように、制御系スクリプトをコントロールする力は、あまり持ち合わせていません」
「そうか。まあ、なんとなく理解出来たよ。1つだけ、お願いがあるんだけど…」
「何ですか?」
「今日、僕の身柄が拘束されたところを、テレビで放送されたと思うんだ。それで、今頃どこかの動画サイトにアップロードされていると思うんだよね。それを見せてよ」
「ハイ、分かりました。視神経から脳につながる分野に直接映像の情報を流しますから、テレビを見ているというより、現実の映像を見ているような感覚を覚えるかもしれません。驚かないでくださいね」
しばらくの沈黙が続いた後、突然映像が流れ始めた。ビットの言うとおりだ。僕が逮捕されるシーンの報道は、まるで逮捕される瞬間に居合わせて、別の角度から自分を見ているようだった。
散々叩かれまくって、こき下ろされてるな。どうでもいいが、マスコミは僕の高校時代の卒業アルバムの写真を無断で使っていいのか?
う〜ん。個人情報ダダ漏れ。昔、バイトした時に面接で提出した履歴書まで出てきてます。全く、笑えますな。
「もう、いいよ。止めてくれ。疲れた。もう、寝るよ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。これから、私の力が必要な時は、目を閉じて私の事を考えながら、心の中でビットと唱えて下さい。そうすれば、また会えますから」
「そうか、分かったよ。じゃあな」
そのまま眠りに落ちた。目覚めると、朝の日差しが薄っすらと差し込んでいた。
昨日は、随分変な夢を見たもんだ。もう起床の時間だ、もうすぐ点呼が始まる。布団をたたむかな。
ぼんやりした頭をかかえてふらつきながら、点呼の時間を待つことにした。
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