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「じゃあ、いただきます。お、けっこう美味いよ」

「でしょう、あれから少しずつだけど料理教室なんかいって、勉強したんだ」

「そうか。本当に美味いよ」

「ケンちゃん、あのね……」

「え、なに」

「あの、私ここに、また来てもいいよね?」

「……。ああ、いいよ。どうせなら一緒に暮らさないか?」

「う〜ん、まだそこまで深くはなれない」

「そうか……」

「うん」

「難しい話はやめよう。今日は泊まっていくんだろ?」

「うん」

そう言うと、理香は僕に体を寄せた。

やはり、女の子って難しい生き物なんだな。いっしょに買い物に行っても、あれこれ見て回るだけで、結局何1つ買わないで帰ったりするからな。

男には、とうてい理解出来ない。

食事をすませると、シャワーを浴びて、寝室のベットの上に横になった。天井を見上げた瞬間、現実に引き戻され、恐怖がこみ上げてきた。死の境をさまよったせいだろうか、PTSDになったみたいだ。

一人で震えていると、理香が僕の横に寝て、そっと抱きしめてくれた。

「ケンちゃん、どうして震えてるの?」

「分からない。でも、怖くて怖くてしょうがないんだ」

「今日は、私が一緒に寝てあげるから、もう寝ましょう」

僕は、理香に抱きしめられながら眠りについた。

朝目覚めると、彼女は会社に行ったらしく、テーブルの上にトーストとハムエッグだけが並べられていた。

昨日の震えは何だったんだろう?まあいい。疲れているだけなんだよな、きっと。

それから、1週間程度リハビリの為に、休みを取って、東京見物をした。

そして、職場復帰の日がやって来た。


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