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「……。確かにそうかもしれない。しかし、あんたの正論のせいで、なんの罪もない一般市民が負傷死したんだ。これはどう言い訳するつもりだ」
「革命に犠牲はつきものだ。今だに人類は意図的に紛争を起こし、金を奪い合うために、貧しき人々が日々犠牲になっている。そして、数千年にわたる宗教戦争。誰も、この世界をむしばむ構造を変えようとはしない。いや、目を背けているのだ。分かるだろう?賢一。私と革命を起こそう」
「そんなこと分かるもんか。とりあえず、ネットワークへの攻撃をやめて、カラープログラムを停止させろ」
「それは無理だ。プログラムを停止させた所で状況が変わるわけでもない。なぜなら革命はもうすでに始まっているからだ」
「革命?」
「そうだ。カラープログラムは、政治や経済といった社会基盤を動かすコンピュータシステムの中に入り込んでいる。意図的にナノロボットが連携を取ってシステムを動かしている状態を止めたらどうなる。金融危機や局地的な戦争が起きかねないぞ」
「そんなことでごまかされるか!言う事を聞かないなら、お前をつぶすまでだ」
「お前は父親を殺すのか?賢一」
「どういう意味だ?」
「確かに、私は人口知能プログラムだが、お前の父親そのものなんだぞ。お前に、私が殺せるのか?」
こいつは完全にイカレている。しかし、オヤジも変なもの後世に残したな。
今さっき見た臓器の水槽と、ここに無造作に置かれている脳みそは繋がっているわけだ。
コンピュータが高速処理をおこなう場合、結局人間の脳とコンピュータのCPU間で演算をしないと、高度なプログラムを運用する事が出来ないのか。
それで、脳に栄養を与えるために、あの臓器が必要だったんだな。
そうか、こいつは、オヤジの完璧なクローンなんだ。姿形は違うけど、生前の知識と記憶とアイデンティティがすっかり乗り移ったオヤジそのものなんだ。
話していると、涙が出てきそうだ。あいかわらず、頑固だけどね。
でも感傷に浸っている場合じゃない。
今の僕は、なんとしてでもCOLORプログラムを止めて、富国電機を守らないといけないんだ。
よし、停止させよう。
テレビモニターの近くにある小さなコンピュータをいじっている、ヤスオに問いかけた。
「ヤスオ、どうだ。なんか、分かった?」
「ケンちゃん、無理だ……」
「どうして?」
「ちょっと、これ見て……」
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