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上原は、無言のまま不敵な笑みを浮かべた。

「僕が手放す株は、あなたの傘下のファンドが購入するってことですね」

「お見通しのようですね。そういうことです。どうでしょう?」

とっさに京介の方を見た。アイコンタクトを受けて、彼が話し出した。

「いいんじゃねぇ〜。インサイダーにはならないし、経営にも支障はないだろうし」

「ありがとうございます」

上原は、グラスを置いて、頭を下げた。

「でさ、どうして富国電気の株が欲しいの?あんたの傘下のファンドに出資している連中ってのは、大体想像がつくし、株の信用買いで、ちまちま利食いをするようなつつましい連中とは思えないんだが」

そう言うと、京介は上原を睨みつけた。

「簡単な事ですよ。もう、裏の世界からは足を洗いたいんです。とりあえず、合法的な事業に投資して、それを足がかりに、健全な事業体をたちあげたいんですよ。ただそれだけの話です。私の傘下のファンドのブレーンたちも、外資系証券会社から引き抜いてきた堅気の連中ばかりです」

「賢一、だそうだ。どうする?」

「分かった。上原さんの条件を飲むよ。それで、株は、いつ売却したらいいんですか?」

「明日は、日曜日なので、明後日の9時にお願いします」

「分かりました。ネット証券の僕の口座に預けてある株を月曜日の9時に売却しましょう。ちょうど2パーセントある」

僕は、携帯電話を取り出すと、ネット証券の口座にアクセスした。そして、週明けに成り行きで持株の2パーセントを出すように注文を出し、電話を切ると上原に問いただした。

「さて、今度はあなたの番です」

「そうですね。では、お話ししましょう。COLORのメインモジュールですが、どこに、あると思います」

「前置きは結構です」

「私の傘下のハッキング集団が解析した情報によると、COLORのメインモジュールは美森市の美森駅から半径15キロ以内の場所に存在しています。そして、巨大なハードウェアの中で作動していますよ。間違いありません」


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