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なんでも、佐藤が銀座に美味いお店があるというので、そこへ行く事にした。

佐藤は学生時代を東京で過ごしただけあって、いろんなお店を知っている。

佐藤の言うとおり、店は洒落ていたが、僕はあまり食欲がわかなかった。

蛭のようにしつこく迫ってくる上原の表情を思い出したからだ。

康市を接触させるとはいえ、果たしてうまくいくだろうか。

僕とサシで勝負をして、至近距離からピストルで撃たれても、熱くならなかった男だ。

ああいうヤツは、ぬかりなくあらゆる手を打っている。メディアの矛先を、上原にうまく向けることができれば、事態は一気に解決する。

だが、どこか違和感を感じずにいられなかった。

佐藤と京介は、呑気なものだった。

料理を待ちながら、互いに結婚生活の愚痴をこぼしていた。

なんか、理想の結婚生活っていうやつは、なかなか難しいようだ。

さっきの話をまるで忘れたかのように、僕たちは食事を取り、富国電気へ戻って、仕事を始めた。

2時くらいになるとゴリが、オフィスに戻ってきて、今日僕が遅刻してきた事を、いやなくらい問い詰めたが、うまくはぐらかすことが出来た。

ゴリとの押し問答をやっていると、いつのまにか就業時間が終わり、僕は京介と佐藤に挨拶をすると逃げるように会社を後にした。

結局、午前中に中野まで行って、キン消しを買って来た事が無駄に思えたが、僕自身は少しリフレッシュできた1日だった。


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