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「ゴリさんもいないですから、今のうちに羽を伸ばして来てください。実は、僕もずっと、ライブチャットやってたんです」

「ライブチャット?」

「ネット上で、女の子のライブ画像見ながら、チャットできるやつだよ。会社のイントラ回線使って何やってるんだか」

京介が口を挟んだ。

「自分の携帯経由でやってますから大丈夫です。イントラネットを管理してるサーバーに足はつきませんから。最近、結婚生活に飽きちゃったんで、ついつい他の女性に目移りしちゃって……」

「そういう問題じゃないと思うんだが。君だけはマジメに仕事やっていると思ったのに……」

佐藤は、結構淡白で熱しやすく醒めやすいタイプだったんだな。

しかし、COLORプログラムの手掛かりがつかめない今、これ以上無茶を強いるのは酷ってものか。なにせ、世界中のネットにつながっているパソコンを一台ずつ調べるくらいしか、確実な方法がないのだ。中だるみするなという方が無理な話だ。

それにしても、佐藤はもっとマジメで熱血純情派だと思ってたんだがな……。まあ、いいか。

「京介、じゃあ行こうか」

京介が、パソコンの電源を落として、僕の後についてきた。

「とりあえず、屋上で話そう」

「ああ、そうだな」

商品管理室を出てエレベーターに乗り込むと、僕は屋上の階のボタンを押した。

さすがに、就業時間帯なので、屋上は誰もいなかった。

「あそこのベンチでいいだろ?」

「ああ」

無言のまま、京介とベンチに腰掛ける。ポケットからタバコを取り出すと、火をつけ、そのままライターの火を京介に差し出した。

京介は、片手を上げて、無言のまま口にくわえたタバコに火をつけた。

「キン消しの暗号なんて、よく覚えてたな」

「当たり前だろ。それより、あのキン消しって、ヤバイ奴って意味だったよな?」


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