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スーツの男達がカーテンを開くと、精悍な顔立ちをした男が1人椅子にもたれていた。
「ごくろう。下がっていていいよ」
椅子にもたれた男の言葉を聞くと、僕らを連れて来た2人組みの男達は彼に会釈して外に出て行った。
「手荒なまねをしてすみませんでした。お座りください」
彼は、丁重な言葉で僕と理香に、2人掛けのソファーに座るように勧めた。
「スミマセン、僕らに何か?」
僕が彼にそう問いかけると、彼はまた丁重な言葉で返答した。
「いえ、あなたに用件があると言う訳ではないのですが、そちらの女性……。そう、理香さんの方に用事がありましたもので」
「彼女にですか?」
「はい。実は、以前彼女がこの店で、さんざん遊んだ挙句、まだお支払いを済ませて頂いていないもので。それから、お亡くなりになられた御両親の借金の方もありまして……。そろそろ、返済して頂きたいと思いましてね」
「そうですか。それで、借金ってどれくらいあるんですか?」
「4〜5千万くらいはあると思います」
僕は彼の言葉を聞いた瞬間に直感的に悟った。こいつは、嘘をついている。
きっと、彼女の両親がなんらかの理由で借金をして死亡した後、彼女を騙して負債の相続をさせ、その借金の返済が出来るとそそのかし、このカジノで遊ばせたのだろう。
むろん、美森にいる時も闇カジノなどを回らされたのかもしれない。それで援助交際をやっていたんじゃないだろうか。
「だからといって、こういった督促はないですよね。ご足労って事は任意でこの場所にいるってことでしょう?私達はそろそろ退席させて頂きたいと思うのですが、宜しいでしょうか?」
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