[携帯小説 COLOR]

→【オススメ】←
人気携帯サイト

僕らは、駅から三番館に通じるメインストリートを歩いた。商店街は壊滅しているの対して、大通り沿いの店舗には活気が溢れている。

ほどなくして、僕らが学生時代から通い続けているゲームセンター・スピードスターにたどり着いた。

スピードスターは、美森市一のアミューズメント施設だ。1階はゲームセンター、2階はボーリング場、3階から上の階は、イベントスーペースになっていてる。

自動ドアの前に立つと扉が開いて、騒々しいゲーム音が飛び込んできた。2人で中に入ると、高校生達が楽しそうに体感ゲームをやっている。設置してあるゲームは東京とかわりないものばかりだったけど、なんだか違和感を感じた。

みんな楽しそうだけど、どこか疲れて見えるのだ。高校生ですら、昨日の夕方ふらっと入った食堂のオヤジさんと同じ雰囲気が感じられる。

「ケンチャン、どうしたの?」

「なんでもない。行こうか」

よくみると、サラリーマンらしき人達も入店してきていた。入り口に、会社主催のボーリング大会が7時からあるって書いてあったから、時間つぶしにゲームでもやっているのだろう。

よほどフラストレーションがたまっているらしい。ネクタイ締めたまま、ゲームに夢中になっているのが、なんだか気の毒に思えた。

僕と、ヤスオは、奥のコインゲームの方へ向かった。両替機の前まで来ると、財布から、500円玉を取り出して、ゲーム用のメダルにチェンジした。

「半分やるよ」

「いいよ。お金払うよ」

「昨日、チケット買うのに用立ててもらったお礼だよ。いいから、やろうよ」

メダルの半分をヤスオに手渡した。目の前にあるコインゲーム機に向かいゲームを始めた。ヤスオも僕の横に座った。

「地味だけど、けっこうハマるよね」

「そうだな」

ゲームは、かなり地味なもので、1枚ずつメダルを入れて目の前に積まれているコインを落として獲得するというゲームだ。コインを投入すると、階段上になったテーブルに、コインが落ちて、山積みになっているコインを少しずつ押していく仕掛けになっている。ほとんどの場合、一枚もコインを手に入れることはできない。

でも、うまくコインを投入すると、塊になっているコインが押されて、何十枚も一度に落ちてくることがある。その瞬間が面白くて、ついつい夢中になってしまう。

[][HOME][]

i-mode総合検索エンジン
→【i-word.jp】←


(C)COLOR