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「ラボに入れるのはごく一部の人間なんでしょう? 足が付くんじゃないですか?」
康市が言った。
「そうとは限らないよ。ラボのセキュリティシステム自体はたしかに厳重だけど、COLORに狂わされていると考えた方がいい。とはいえ、ラボにしょっちゅう出入りしているとしたら、身近な人間かもしれないな。
そういえば、ゴリさんが、ラボからナノロボットを持ち出したのは僕の近くにいる奴かもしれないって言ってたっけ」
再び、みんな静まり返ってしまった。ヤバイ。よけいな事を言ってしまった。みんな互いにチラ見しながら様子をうかがいい出した。さあ〜って本物はだれだ。
「もしかして、佐藤さんじゃないの〜〜自衛隊のヘリは動かすし、マシンガンぶっ放してたし」
康市がそういうと、佐藤が立ち上がって、食ってかかった。
「ぼ、僕がそんな事するはずないじゃないですか。第一、これから結婚して家庭をもとうとしているのに、自分の首を絞めるような事するはずがないでしょう?」
「しゃれだよ。佐藤、落ち着け」
京介が、興奮した佐藤の肩を叩いて着席させた。
「みんなちょっと冷静になろうぜ。こうやって俺たちを混乱させるのも、敵の作戦かもしれないぞ。俺は、ここにいる4人はスパイじゃないと思う。もし、会社に不祥事が起きたら俺達4人は真っ先に経営責任を取らされるだろう?
かといって、ゴリさんでもない。富国電機の役員同士の争いでもないはずだ。もし富国電機の役員同士が、お互いを追い落とすために仕組んだことだとしても、会社自体が某大な損害賠償を抱えたら、一気に株を売られて会社自体がのっとられるか、株主代表訴訟で訴えられて、たちまち刑務所行きだ。真犯人は、おそらくそれ以外にいる」
京介の話が終わると同時に、マダムがワインとピッツアをワゴンに乗せて持ってきた。
彼女は、料理をテーブルに置いて、皆のグラスにワインを注いだ。
「メニューは以上です。何かありましたら、テーブルの上にある呼び鈴を鳴らしてください」
彼女は、そう言うと空になったワゴンを押しながら店の中にもどっていった。
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