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「コンテンツ?って、新しい健康食品かなにか?あれも最近、大変ですよね。テレビでさんざん叩かれてるみたいだし。納豆がどうだこうだとか」
運転手は、この手の話は全くわからないらしい。話しが全く通じなかった。
「いえ、コンテンツ制作ってのは、情報を無償で提供して……ええと、なんて言ったらいいかな。音楽とか情報番組なんかを制作して利益を得ているんですよ。
簡単にいうと、テレビと新聞とラジオが家庭用パソコンで見られるようなサービスです。無料で見られる代わりに、企業から広告を募ったり、通販なんかをやって、会社は利益を取ってるんですね。営業もしないと仕事にならないんで、最近は大変ですよ」
「へぇ〜〜〜。そうなんだ。でも、世間ではITは儲かってるって言ってるからね。ほれ、時々、東京の六本木ヒルズなんかで、豪華な昼飯食ったりしてる社長さんが、TVで流れたりするじゃないですか。セレブ気分を満喫していいな〜って思ってた」
「あれは、一種のバブルみたいなもんですよね。本来、IT企業って、情報をやりとりしてお金を稼ぐのが本業なのに、政治や中央の有力者との人脈で、お金を集めたり、マスコミを利用して、自社株を吊り上げるくらいでしかお金を稼げない企業が多いんですよ。
通信ネットワークが可能な場所なら人件費が低くて、物価の安い地方の都市に拠点を構えるの常識です。ITイコール六本木って考えているのは日本人くらいで、外国人投資家や企業家は日本のIT企業をバカにしてますよ。うちは美森を拠点にしてるんです」
「へ〜そうなんだ。そうだ。お客さんの会社は何て言うんですか?」
「ITコンサルティング社と富国電気です」
「すげえ。今日は有名人乗せちゃったよ。新聞見ましたよ。美森市で会社起こした人でしょう?」
「ええ、まあ、そうです」
「いいな〜。俺とは月とスッポンっすね。俺、これでも絵描きなんです。絵が全く売れなかったんで、嫁さんが看護師やって食わしてくれてたんですけど、10年も売れないと、さすがに気まずくなりましてね。タクシーに乗って働く事にしたんです」
「そうだったんですか」
「でも、あれですね。今思えば大学出る時、内定貰えなくて良かったなって思ってるんですよ。僕はもともと絵が好きだったし、平凡なサラリーマンで終わりたくなかったから……」
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