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「そうなんですか?」

「そうなんですかって。お前が一番よく知ってんだろう」

「いや、子供の時の記憶があまりないんですよ。オヤジは仕事ばかりでウチにはあまり寄り付かなかったような気がします。それでもの心つく頃には美森市にいたんで……」

「そうか、じゃあ、スーパーカーのお兄さん覚えてるか?」

「え〜と。あ、覚えてます。確かオヤジとスーパーカーショーを見に行くって約束して急用が出来て行けなくなったので変わりに、お兄さんに連れて行ってもらったんですよ」

「うん、そのお兄さんって俺だよ」

「え〜。ほんとに、毛深く……。いや、ずいぶんマッチョになりましたよね。あのころってすごく痩せてたんじゃないですか。すらっとした感じだった覚えがあるんですけど」

「ああ、若かったよなあ。お前が子供の頃、お前の実家には良く遊びに行ったもんだ。当時、自衛隊を辞めて富国電気に入社したばかりの俺は、民間企業の体制に毎日とまどっていたんだ。中には俺が徴兵入社だから煙たがる連中もいた。でもお前のオヤジさんは別だった。

俺に対していつも親切で、仕事で分からないことを聞くと丁寧に説明してくれた。それはそうと、今日会長が話したことは、全部うのみにしないほうがいいぞ」

「どうしてですか?」

「お前のオヤジさんはアメリカを憎んでいたかもしれない。でも、それはアメリカの軍事行動であり、アメリカ国民やアメリカ合衆国を憎んでいたわけじゃない。だいいちお前のオヤジさんのようなタイプの人間が、無差別テロのような事を企むと思うか?そうだろう。俺にはおおよその見当がついている」

「どういうことです?」

「栗原、今から俺が言う事をよく聞け。おそらく今の重役連中は秘密裏にアメリカ政府や日本政府から人工知能防衛オペレーション・システムの開発依頼を受けたのだろう。

要するに、コンピューターが東側諸国の軍事行動に素早く対応し、もっとも的確な指示を算出し、時にはナノロボットを敵国に進入させ、任務を遂行させる事が出来るプログラム開発だ。いうなればサイバー攻撃のできるロボット兵士ってとこだよ」

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