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「そうだよなあ。僕は、人生の99.9パーセントは苦しみだと思っている。でも、視点を変えてみると苦労も幸せなんだよね。僕なんか独身だから育児ノイローゼも味わえない」
「育児ノイローゼは無理して味わなくてもいいと思うんですけど。たしかに苦労するのも幸せの一つですよね。
例えば、貧乏な人がいるとするでしょう。でもこの人は、ほんの少し頑張れば今よりもお金持ちになれるわけです。でも、幸福の扉を開こうとはしない。開こうとしないんじゃなくて、扉が見えないわけです。そう、僕らの周りにも幸福の扉があるんですけど普段は見えないんですよ。でも、賢一さんには見えるのかな? そんな気がします」
「よく分かんないけど、君のその60億人の中からめぐり合えたって、フレーズは使わせて貰うよ」
「改めて聞くと、運命的な言葉ですよね。60億人の中からめぐり合えたって」
「運命か……運命といえば、昔ノストラダムスの大予言っていうやつがあったね」
「ありましたね。見事に外れましたけど……」
「あれって外れたのかね? ニューヨークの貿易センタービルに旅客機が衝突したテロ事件だけど、確か2001年9月11日だろう。不思議なんだけど、この日付の各数字から2を引くと西暦1999年7月9日なるわけ。それで、旅客機が衝突したのと悪魔の大王が空から降ってくるっていうやつが重なるんだよね。事実あの事件から世界中にテロが拡散していったわけだし、よく分からないけど僕らは今、第3次世界大戦の入り口にいるかもしれないような気がするんだよね」
「そういわれてみれば、そうかもしれませんね。うちの会社だって、民生品だけを作ってるわけじゃないですし。うちの会社が、防衛庁に製品を納入しているのは知ってるでしょう? それどころか、外国の偵察衛星の部品とか作ってたりしますから。」
「だな。ぼくはね、前にいた会社でやっていたことと矛盾することをやっているような気がして、悩むことがある」
「でも、どうしょうもないですよ。僕らは一民間人で何の権限もないんですから」
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