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「杉並区ですよ。新宿の西の方です。毎日中央線にすし詰めになって通勤してます。僕らみたいな堅気のリーマンは、ショボかろうが、狭かろうが、都区内の1DKのマンションに、家族3人で生活できたら十分ありがたいんですよ」

「そうなんだ。新宿より西にはまだ行ったことがないんだけど、高円寺って新宿より都会?」

「全然。下町ですよ。でも、治安はいいですね。ていうか、年寄りが多いんですよね。そのせいか人情味がある気がします。とはいえ、新参者には手厳しいですけどね。

よく東京の下町は人情味があるなんて言うじゃないですか。あれは昔から住んでいる近隣の住人に対しての話ですよ。まあ、そんなことは、どこの街でも同じことなんでしょうがね」

「ハハハ、そうだね。前に住んでた美森市もそんな感じだった。僕はジモピーだったから、そんなこと考えもしなかったけど」

「そう言えば、賢一さんは結婚してましたっけ?」

「いや、独身。君は?」

「既婚です。実は僕、大学3年の時に結婚したんです。」

「そりゃまた早いね。大学時代なんていったら、楽しい時期まっさかりじゃないの?」

「まあ、そうなんですけどね。結婚を急ぐつもりはなかたんですけど。話せば長くなるんですけど、いいですか?」

「どうぞ、どうぞ」

「僕は勉強なんかほんとは嫌いだったんです。でもパラパラ教科書めくっているとテストでいつも良い点取れて、たまたま早稲田の理工学部に入っちゃったんです。

で、毎日、大学通うんですけどつまんなくて。他の奴らも僕と同じような感じで目的もなく勉強して、とりあえず東京六大学に行って大手企業に入るか、役人になればいいんじゃないのって感じの奴らばっかでタルタルになったんすよ。

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