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「康市、お前の実家って工務店だったよな。ジェネレーター借りれるか?」
康市は、しばらくキョトンとした顔で僕の方を見ていた。「前に親父さんと話したことあるけど、お前の実家って工務店だろ? ジェネレーターとトラックを何とか借りられないか?」
「大丈夫です。て、いうか。あの。たぶん」勢い余って詰め寄ったせいか、康市はしどろもどろになった。
「落ち着いて、ゆっくり話してくれ。とりあえず、あと10時間くらいはバックアップ電源が生きているらしいから。その間になんとかできるかな?」
「え…と、うちの家にあるのは、大型ジェネ1機と、もう1つはレンタル屋の小型ジェネが1機ですけど。たぶん、会社の事務所の電力くらいは確保できると思います」
「そうか、今からお前の家に行って、それ借りれるか?」
「はい、大丈夫です。ここんとこ開店休業みたいなもんだし、うちはここの市の指定業者じゃないから、官公庁に機材の貸し出しもしてないと思います。念のため、オヤジに連絡を入れてみますね」
「頼む、俺はみんなを集めて対応策を練るから」僕は、周りを見渡すと大きな声で叫んだ。
「ITコンサルティング社の方は至急、こちらに集まって下さい」京介、佐藤、康市も僕に続いて呼びかけた。
暗闇の中から、ゾロゾロ人が集まり始めた。中には、「あれ、こいつ誰だ」って思う奴までが来たので少々驚いたが、どうやら佐藤についてきた社員が全員集まったようだ。
「ITコンサルティング社、代表取締役社長の栗原賢一です。皆さんは現在の状況に少し混乱して平常心を失っていると思われますが、冷静に私の言葉に耳を傾けて下さい。
まず、現時点の弊社が管理しているシステムの状況について、私達はほとんど把握できていません。とりあえず、自社サーバの補助電源が正常に動いているのは確認できましたが、後10時間程度で電源が落ちてしまいます。それについては、僕と京介と康市で発電機を調達して対応します。
他の社員は、佐藤君と一緒に歩いてオフィスに戻ってください。そして、手分けして現在の情報収集を行ってください。とりあえず、夜が明けるまでは自宅には戻らず、かならずオフィスにいてください。
作業はともかく、街が暴徒化する危険性がありますから外に出ると危険だと思います。安全が確認できるまでオフィスで待機していてください。なお、オフィスのドアは、かならずロックしておいてください。
僕らが戻ってきた時の合図はオフィスのドアを3・3・7拍子でノックしますので、その時はだれかドアを開けてください。以上、解散」
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