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「こっちもダメだ。そこに落ちているリアバンパーで後ろのガラスを割ろう」

助手席に周り込んでいた様子を見ていた京介が叫んだ。

「わかった」

京介が落ちていたリアバンパーで、後部座席のガラスを割った。僕も手近なものを拾って、助手席側の後部座席のガラスを割った。

細かく散ったドアガラスを払いのけ、車内に頭を突っ込む。狭い視界の中で、顔を上げると、初老の夫婦がぐったりしていた。

「大丈夫ですか?」

返事はなかった。さっき返事をした運転席の男性も完全に意識を失っているようだ。

前を見ると、京介が反対側のドアのガラスを割っていた。内側からロックをはずし、後部座席に乗り込む。そのまま体を乗り出し、運転席のドアロックを解除した。

「賢一、手伝ってくれ。俺一人じゃ開かねえ!」

「わかった」

慌てて車を降りて、運転席側の京介のフォローに回る。フロントガラスにひびが入っているが、ルームの損傷はさほどではなさそうだ。だが、衝突の衝撃で、車体自体がわずかに捻じ曲がっているらしい。ドアがなかなか開かない。

「少し動いた。たぶん開くぞ。もう一度引っ張ってくれ」

京介の言葉に無言でうなずき、ドアを引くタイミングを合わせる。

何度かドアを引っ張っていると、やっと開いた。

「フォードアセダンでよかった。足は潰されてないみたいだな。助手席はこっちからじゃ無理だから、そっちから出そう。血に触らないようにしろよ。ウイルス性の病気に感染するって聞いたことがある」

「わかった」

京介に返事を返すのと同時に、僕は運転席のおじさんを外に引きずり出すようにして運びだした。乱暴だが、もたもたしてる暇はない。運転席のシートを倒して、助手席のオバサンも車外に運び出す。

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