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ようやく音を取り戻したと思ったら、何度も爆発音が聞こえてきた。それにまじって人の叫び声が混じるようになった。女の人だろうか。よく分からない。爆発音に混じって、あちらこちらから泣き叫ぶ声が聞こえだした。
「なんだ。何が起きたんだ?」
「わかりません。事故か何かかもしれませんよ。爆発音みたいな音がしましたから、ガス爆発とかかも」康市がマグライトで遠くを照らしてみたが、さすがに何も見えなかった。
「とにかく戻りませんか? 他の連中が心配です。ついてきてください」
康市は、そう言うと、先頭を切って歩き出した。康市のマグライトの明かりを頼りに公園から出ると、そこは凄まじい光景が広がっていた。
わずかにのこった明かりの中で、建物や車が大破しているのが見えた。康市のマグライトで切り取られた小さな円の中で、凄まじい光景は、より鮮明になった。
スクランブル交差点で多数の車が衝突していた。中にはビルなどに衝突している車もあった。
僕らの目の前には数十人の人達が頭から血を流してうずくまっていた。
「一体何が起きたんだ?」
「分からない。テロか? それとも大規模停電か?」
「でも信号はついてるぞ?」
京介が指差す方を見た。奇妙な光景が広がっていた。街の明かりがすべて消えているにもかかわらず、スクランブル交差点の信号だけがともっていた。
しかも、全て青信号になっている。
「なんなんだ? 全然わけわかんねえ」
「とりあえず、手分けして生存者を助けよう。たぶんこの様子だと、消防のレスキューも到着するまで時間がかかるはずだ」
「分かった。康市、お前はここに残って、救急隊が到着したら誘導しろ」
京介に促されて、僕はつぶれた車に走り寄った。
一体何が起きたんだ? 僕らは、なにがなんだかさっぱり分からないまま、救助活動を始めることにした。
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