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◆オヤジさん、ホッケがこげてるぜ◆
今日は色んな事があった。もしかしたら数年分の仕事を今日一日で達成してしまったのかもしれない。富国電気と関わることになったのは複雑な気分だけど、まあそれはゆっくり考えよう。
とりあえず仕事が無事に受注できたことを喜ばないとな。
そんなことを思いながら、車を走らせていたら、康市が言っていた事を思い出した。
確か七時に、タロチャンで打ち上げやるっていってたな。
手元の時計を見ると、四時四十三分を指している。
中途半端な時間だ。仕事の整理をする時間もない。せっかくだから、事務所に戻らないで、どこかで暇をつぶそう。
僕はいつもとは違う道を通らずに、適当に車を走らせた。いつもの車と違って、ダットサンで走るのも悪くない。スーツ姿の男が運転するダットサンというのも珍しいんじゃないだろうか。信号で止まると、色々な人が僕に視線を寄せた。
取りとめもなく車を走らせていると、海岸通りに出た。
海辺を走っていると、サーファー達が車を止めて、波に戯れる姿が目に飛び込んできた。平日なのに一日中サーフィン三昧なんて優雅な生活だ。
とはいえ、僕もつい10年前まではこんな生活をして生きてたんだ。彼らも必ずしも優雅とはいえないのかもしれないな。そんなことを思いながら運転していると、突然眠気が襲ってきた。
プレゼンで緊張した神経が緩んだのだろう。そういえば、ここ数日まともに寝ていない。それもたたっているはずだ。ちょうど大きな木のそばに駐車スペースがあったので車を止めると、ドアのガラスを全開にして、エンジンを切った。
胸元のネクタイをほどき助手席に置くと、そのまま横になった。心地よい風が窓から吹き込んでくる。そのまま僕は、意識を失うように眠りに落ちた。
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