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「世界人類の誕生から、歴史を振り返って見てもお分かりかと思いますが、大義のない壮大な計画をぶち上げたところで、結局誰も評価してはくれない。
そして、そいつは、ならず者として市民からつるし上げをくらった挙句に、逆賊として年表に刻まれてしまうのです。御社のプロジェクトは、出来上がったコンテンツを、ネットに投入することで、社会に莫大な影響を与えるという意識が低すぎるといわざるをえません。これでは、クライアント様が社会的な信用失墜につながる可能性だってある。
予算云々の前に、もう少し社会に対して、目を向ける姿勢を養うべきですね。これでは、何か問題が発生したら真っ先に逃げる学生の興したベンチャープロジェクトと同じだと思いますよ」
僕が着席すると、拍手が起きた。さりげなく横を見ると、麻美が目を真っ赤に腫らして小声で泣いていた。
ある意味、麻美に対してのレッド・アイズ・プロジェクト完了。(笑)
実のところ僕は子供の頃から喧嘩が苦手だった。しかし、今だ口喧嘩では負けたことがないのだ。
口喧嘩番長の異名をとるワシャア〜、天下無敵じゃけぇんの〜う〜。(広島風)
それから、同席した各企業が、予算枠の問題などを突っ込んで来たが、他愛のないものだった。時代劇のお侍さんが、剣で弓矢を打ち落とすように軽々とねじ伏せた。
ディベートの時間も終わりに近づいた。僕らの優勢で終了だろう。その時だった。司会者がマイクを握った。
「本来はこれで終わりなのですが、予定を変更しまして、グローバル・エージェンシー代表取締役・社長、中野晴彦様が、関心をもたれたプロジェクトについて、質問をなさるそうです。中野様、お願いいたします」司会者がそういうと、中野氏がマイクを握った。
「ありがとうございます。グローバル・エージェンシー代表取締役・社長、中野晴彦でございます。今回色々なご提案をいただきましたが、弊社は、中でもITコンサルティングさんのプロジェクトに関心を持ちました。
エクセレントだ。しかし、弊社には、このコンテンツを運営していく予算を捻出することに踏み切る勇気がありません。この問題を解決するご提案は何かおありですか? そういえば、スカイネットの白石さんが同じ質問をされましたが、御社はその問題に対して、具体的な回答をされてませんよね」
「それにつきましては、先ほど再度ご提案させていただきました見積もりをご覧いただきまして、具体的な金額交渉をさせていただければと考えております」
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