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◆息ぐるしい時間◆
各企業のプレゼンも順調に終わって、ついに僕たちの番がやってきた。
「それでは、ITコンサルティングさん。お願いします」
「康市は?」京介が汗びっしょりの顔を向けた。
「まだだ。どうやら腹をくくるしかないな」
「わかった」京介はそう言うと、僕について、壇上に上がった。
京介はさすがに緊張が崩せないらしい。顔がこわばっていた。無言の後、人差し指でマイクを2、3度コンコンとやってマイクチェックをした。
隣にいる僕のところまで、京介の緊張が伝わってくる。一瞬の無言の後、京介は言葉を続けた。
「え〜、ITコンサルティングの早見京介でございます。社内では、コンテンツプロデュースを担当しておりまして、今回のプランナーもやらせていただいております。今回のプレゼンテーションは、弊社代表の栗原共々、私たちにとりまして、またとない機会を与えていただいて大変ありがたく思っております。
まずは、このような企画提案の場を頂戴しましたことにつきまして、グローバル・エージェンシー様及び、関係各位の皆様へ、厚く御礼申し上げます。それでは、本題に移らせて頂きます」
結構やるじゃん。やっぱ頼りになるね。伊達に修羅場くぐってないわ。わが社の未来は安泰だ。うんうん。素晴らしい演説を真横で聞いて、少し緊張が取れた。
何気なく視線を移して、京介の読み上げている資料を見た。ゲッ! なんと真っ白じゃあ〜りませんか。始めからアドリブなのかよ〜。流暢な演説どころか、京介が、精一杯のはったりをかましているのが分かった瞬間、足がガクガク震えてきた。
おいおい、どうするんだよ。なんなんだ、そのスマイルトークはよ。僕は心の中で、京介を毒づいた。
「弊社ITコンサルティング社は、21世紀の我々に今何が出来るのかについて、まず徹底的に社内で討論いたしました。
また、既に他社の皆様からご指摘がありましたように、急速に発達したインターネットの安全性を重要な問題と捉え、同時に社会の接点や有益性について洗い出しました。
その結果、今回のブルー・アース・プロジェクトをご提案させていただくこととした次第です」
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