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「予備の実弾を用意してきた。マガジンに装填してある。持ってろ」実弾の詰まったマガジンを二つ、京介に渡す。
「サンクス、賢一の分は?」
「大丈夫だ。マガジンどころか、もう一丁トカレフを用意してある」
「よし、踏み込むぞ」
二人して、資材置き場のドアを蹴破ると同時にトカレフを構えた。ドアが転がる大きな音が響き渡っただけで、真っ暗な中には、人の気配が感じられない。
「行くぞ。油断するな」
トカレフを体の真正面に構えて、京介と肩を並べて、慎重に先を歩く。
「誰だ!」京介はそう叫んだと同時に、トカレフの引き金を引いた。弾が天井に当たってはぜる音がした。
「京介さん、ちょ、ちょっとタイム。俺たちです」
声と同時に小さなランプが灯った。僕たちが抱き込んだ仲間達だった。トカレフを降ろすと、みんながそろっており、先にアキラのアジトをかぎつけて踏み込んでいたのだ。それだけじゃない。柱にアキラが縛り付けられていた。
「あらら、重装備してくるまでもなかったな。予備の弾まで準備してきたのによ。賢一、こいつどうするよ?」
「うるせえ、京介、ごたごた言わねえでやるならさっさとやれよ。俺を殺す気で、ここに乗り込んできたんだろうが」
アキラは柱にしばりつけられたまま、思いっきりツバをはいた。かつての仲間の変わりきった姿だった。緊張が壊れて悲しさがあふれてきた。
「アキラ、お前変わったな」
「変わったのはどっちだよ。金のためなら、何でもやるクソ野朗に成り下がったのは、お前じゃねえか」
「お前に言われたかねえな。たしかに俺たちゃ、どうしようもねえワルだ。でも、金のねえ連中から、たかったりはしなかっただろうが。ちょっと頭数が増えたと思ったら、赤字だらけの商店街の爺さん連中にまで、みかじめ料巻き上げやがって」
京介は、柱に縛り付けられたアキラの腹に拳を叩きつけた。相当効いたらしい。アキラはうめいて、思いっきりゲロを吐いた。
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