最高に眩しいな。後ろのシビックがハイビームで僕の車をガンガン照らしつづけている。
しまった、泰蔵と練習した時にハイビームのシュミレーションまではやってなかった。
一瞬目を閉じた瞬間、エグ坊主のシビックが真後ろまで迫ってきた。
練習したとおり、左右に車を蛇行させながらブロックする。
何度も何度もブロックしたが、こちらの方が小回りが効かないため振り払えない。
やっとの思いで、最後のカーブに差し掛かった瞬間、後ろから強い衝撃が伝わって来た。
それと同時に、まるでハンドルがロックされたように重く、全くコントロール出来ない。
前を見ると、ガードレールがちょうど途切れている。
ヤバイ。マジで死ぬな。
そう感じた瞬間、まるで時間が止まったかのように、目の前の全ての出来事がスローモーションになり。音の無い世界の中を浮遊している状態に陥った。
バックミラーを見ると、後続車が僕の車に接触したまま走っているように見える。
あまりの恐怖に、思わず目を閉じてしまった。
その瞬間、暗闇の中から緑色に輝く光のような物体が浮かび上がってきた。
「緊急防衛システムが作動しました。お久しぶりです。ビットです」
「うっ、う」
声が出ない。て、いうか。反応出来ない…。
「目を閉じたまま、私の言うとおりに行動してください。現状を報告しますと、あなたの車に後続車両が追突したまま走行している状態です。後続車を引き離すために、少し左にハンドルを切りながら、思いっきりアクセルを踏んでください」
彼の指示通り、ハンドルを左に切りながらアクセルを踏み込もうとするが中々思うようにいかない。
「今、あなたは、1000分の1秒の時間を体感しています。もっと、素早く力を入れて下さい。そうする事により、素早く行動できますから」
もう、何が何だか分からない。 |
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