大丈夫だろうか?
一抹の不安が横切った。
しばらくすると、遠くの方からエンジン音鳴り響き、こちらへ向かって近づいて来る。
それと同時にギャラリーがざわついた。
駐車所の入り口付近にいる僕には、ゴールしようとしている車の姿は捉えられない。
どっちだ。
泰蔵、それとも…。
その時、仕切り屋の龍二が僕の車に向かって懐中電灯を小刻みに振った。
どうやら、泰蔵が先行しているようだ。
僕に、スタンバイするように合図を送っている。
クラッチを思いっきり踏み込み、アクセルを軽く踏み込んだ。
次の瞬間、泰蔵の車がゴールを突き抜け、仕切り屋の龍二がライトを僕の方に向けると大きく振り回した。
素早くクラッチを離し、アクセルを踏み込む。
アスファルト切りつけながら、車が飛び出す。
駐車場出口から、少しドリフトしながら本道に滑り込むと、泰蔵の車が左の路肩に停車しようとしているのが見えた。
僕は、追い越しざまに2回クラクションをならすと、彼も後ろの方で数回鳴らしてくれた。
実に、いい感じだ。
バックミラーに、車の影は映っていない。
スタートして、ゆるやかなカーブを抜け中盤までは無難に進む事が出来た。
しばらくすると、ヘアピンカーブに差し掛かりグニャグニャしたカーブを中盤まで来たところで、バックミラーに後続車のライトの明かりが映った。 |
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