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「栗原、オレが今からお前のケツをついて走るから、抜かれないように上手くブロックしてみろ」

「ああ、わかった」

彼に言われた通り、駐車場から車を出すと、本道をアクセルべた踏みで走った。

ルームミラーに、泰蔵のランエボは映っていない。

よし、ストレートは、こちらに分がある。

しばらく走り、ヘアピンに差し掛かるといつの間にか泰蔵のランエボが真後ろまで迫っていた。

彼は、僕の車にギリギリまで接近すると、バンパーをコツコツぶつけてきた。

ふう〜。さすが、車屋の息子だね。こんな状況でも、余裕があるってことか…。

彼に、負けずにギヤーを落としアクセルを踏む。こんなことを、何度もやりなが下浦ダムを数週走ると、最後に泰蔵が僕の車を追い抜き、駐車場に滑り込んだ。

僕も彼の後を追い、車を横に止めると、パワーウィンドを下ろした。

「栗原、ドウよ。こんな感じYO」

「ああ、なんとなくツカメテきたよ。でも、まだまだだな」

「そりゃあ、そうだろう。オレ様は中坊の頃から、ここいら辺り流してるからな。でも、お前確実に早くなってきたぞ」

「本当に。そうか…」

「マジで早くなった。後は、ストレートで最高速出して、カーブで後ろの車をブロックするような、メリハリのある走りを身につけたら、必ず奴らに勝てるだろう。それから、バトルの時はエアコン切れよ。エンジンに負荷がかかるからな」

「分かった」

「今日はこれで帰ろう。また西海岸まで行って、それからオレの家まで送ってくれるか?」

「じゃあ、西海岸の倉庫までバトルだ」

それから、泰蔵と西海岸の倉庫までバトルをすると、彼を助手席に乗っけて、泰蔵の家に向かった。

泰蔵の実家の前まで辿り着くと、彼を降ろし、クラクションを1回鳴らすと、自宅に向け車を走らせた。

アパートの駐車場に車を止め、部屋に入り時計をみると、もう夜中の2時を回っている。

この日は、そのままベットに横になると、すぐ眠りについてしまった。

こんな日々を数日過ごすと、いつの間にか土曜の朝がやってきた。


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