あっと言う間に月日は流れ、初公判の日がやって来た。
目覚めると身支度を済ませ、しばらくすると弁護士がやってきた。
理香は弁護士の顔を見ると僕に話しかけた。
「ケンちゃん、がんばってね」
「ああ。じゃあ行って来るよ」
そう言うと玄関のドアを閉めた。
本当は、理香にも裁判を傍聴してもらいたかったのだが、彼女を巻き込む分けにはいかない。
エントランスを出ると、弁護士が用意したワゴンに乗り込む。
ドアが閉まると同時に車が走り始めた。
僕らを乗せた車が裁判所に到着すると二人とも車から降り、ゆっくりと歩き出す。
中に入ると手続きを済ませ、裁判が始まるまでしばらく待った。
開廷3分前、被告である僕が入廷し、正面向かって右手の長椅子に腰を下ろすと、傍聴人が少しざわついた。
どうやら、富国電気の人達も何人か来ているようだ。 |
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