どれだけの時間が流れたのだろうか。
深い眠りに落ちていく感覚が訪れたと同時に、暗闇の向こうから緑色に輝く球状の物体が現れた。
前に会った妖精さんかな?
そう思っていると緑色のボールは、かわいい妖精のような形に身を変え、僕に話しかけてきた。
「ケンイチさん。調子は、どうですか?」
「良くないよ。ていうか、いいわけないじゃん。人生最悪の瞬間だな」
「そうですか……。いや、そうですよね」
「ところで、キミは以前、僕の夢の中に出てきた妖精さんだよね?」
「はい、そうですが……。ヨ・ウ・セ・イ?」
そう言うと彼はしばらく首をかしげた。そして、また話し始めた。
「あの〜。あなたは、完全に勘違いされていると思うのでハッキリ言いますが、私は妖精ではありません」
「じゃあ。なんなのさ」
「アラタメテ、ご紹介させていただきます。私は、あなたにパラサイトしている、グリーンパーツのビットと申します」
「あ、それはどうもご丁寧に……。なに?!お前はCOLORプログラムのグリーンパーツなのか?」
「ハイ、そうです」
「はい、そうですって…。確か、富国電気のラボの中でメディカルチェックを受けた時に、僕の体内に寄生していたナノロボットは、すべて取り除いたはずだが?」
「残念ながら、私は、まだあなたの体内の中で生存しています」
「そうなんだ……。で、僕をどうするつもりだ?」
「いや、別に私は悪いことを企んでいる訳ではありません。むしろ、あなたをサポートしたいのです」
「どういう事?」
「簡単に説明しますと、私達カラーパーツは、ナノロボットによって人やコンピュータに侵入します。人に寄生した場合、大脳皮質のシナプスに寄生して、その宿主が持っている願望を達成出来るように、潜在意識に働きかけ、最大限に努力しサポートします」 |
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